COVID-19の流行が続く現在、皆様如何お過ごしでしょうか。うわあい、もう2020年も終りになっちまったよ。
Mass++の開発は、現時点では日本国内のみで行っていますが、世界中と同様、今年は頭からCOVID-19でドタバタしておりました。
Mass++開発者は、現時点では関東に2人、関西に2人(他に開発協力者が数名、日本各地)ですが、元々の予定では今年4月に、開発のための自主ハッカソンを京都で行う予定でした。
しかし、勤務者である3人の勤務先でいずれも感染者が発生し、また会場予定場所の組織で「如何なるオフラインミーティングも禁止、たとえ家族でも複数人での外食禁止、違反した場合は自動的に2週間出勤停止」という規則が作られるなど、ハッカソンなど到底不可能という状況になったため、結局全員が自宅からSkypeで接続してオンラインハッカソン、と相成りました(今まさにその最中にこれを書いています…って、ちっともハックしとらんがな)。
さて、2020年も終わりですが、2019年の活動報告を行いたいと思います。
2019年の最大の目玉は、もちろん、
Ver.4インストーラ(ダウンロードしたらすぐそのまま使えるパッケージ)リリース
です!ぱちぱち。
正確にはα版なので、今後手を入れてβ版に進むわけですが(あ、2020年にベータ版もリリースできましたね…)、「掛け声倒れにならなくてよかった」と開発者自身が胸を撫で下ろしています(って、そんなんじゃダメだろ…)。
Ver.4αは9月17日にリリースしました。この日になった理由はただ一つ、17日と18日にHUPO World Congress(ヒトプロテオーム機構世界大会)でのポスター発表があったからです(つまり、「ver.4インストーラのリリース」「HUPO World Congressでのポスター発表」という二つの目標は、今年も達成できています!)。
ということで、今年もやっぱり、HUPOポスター発表の報告から参りましょう!!
2019年の発表実績:ver.4(α版)リリース
やって参りました、アデレード!アデレードってパッと場所が判らない方もいらっしゃるかと思いますが(いや、オレのことだオレ)、要は、四国で言うと高知市と室戸岬の間あたりです。
HUPOのあった9月は、まだオーストラリアでの大規模火災はそこまで深刻にはなっていなかったため、我々も何も気づいていませんでした(むしろフライト経由地の香港の情勢を心配していました)。幸い、アデレードは最終的にそこまで危機的な状況にはならなかったようですが。
空港です。人が多すぎないのはいいですね。この風景はやっぱりヨーロッパっぽい。植生は違うでしょうが。それに、私個人にとっては、これは初の南半球ですね!!
看板には簡体中国字が併記されていますね。観光客多そう。コアラの写真(壁画ならぬ壁写真)がお出迎えです。やっぱりオーストラリアと言えばコアラですか。
#そういえば、ウィーンだかザルツブルクだか(オーストリア)の空港には、「ここにはコアラはいない!」という英語の看板があるそうですが、まぁ要するに世界中皆間違えるんですな。
市の中心部は緑地で囲まれていて、落ち着いた雰囲気の、しかし結構な都会の街です。緑地の外側には住宅街が広がり、空港も港寄りの場所にあります。
中心部に宿を取ったのですが、その宿の窓からの風景。
はい、会場のアデレード・コンベンション・センターに近づきました(実はこれは初日の写真ではないですが)。しっかしこれ、素晴らしいなこの空の色。
横断歩道を渡ってコンベンション・センター前です(これは到着初日に撮った写真ですね)。
実は、iPhoneを逆さまにして撮影し、もうオーストラリア人がうんざりしている化石のようなジョーク「地球の反対側では、やっぱり皆逆さまに立っています!」というのをやろうとしたんですが、撮影してみたら上下修正した写真が撮れていました。iPhone余計なことしすぎ。
#つまんねえジョークすんな、ってことか…
ちょっと近寄ったところ。
“Convention Centre”のあたりに人型のデザインが入ってますね。芸が細かい。なおイギリス連邦加盟国なので、当然ながら、綴りはイギリス式(CenterでなくCentre)です。
さて会場ですが、
これは建物の入り口周辺。人種とかどうでもいいんですが、でも、この写真に写っている人物は、偶然ですが全員アジア系でした。結構アジア系が多い(まぁ国際学会の会場ということもありますが)。
一方こちらは、ポスター会場のホールの入り口。まぁ如何にも国際学会、という感じで、取り立てて変わったところはない、という感じでしょうか。
さてMass++のポスターですが、朝方にポスターを貼った直後の写真です:
え?他のポスターがないって?そうなんですよ、まぁ皆、スケジュールどおりには貼りませんね。ASMS(去年ポスターを出したアメリカ質量分析学会)に比べると、ポスターセッションにそこまで力が入っていない、というのも理由かも。
実際、(私は他にも自分のポスターを出してたんですが)私のお隣のポスターは、セッション中にプレゼンターが来なかったようで。以前も感じたのですが、(ASMSと違って)HUPOでは口頭発表が主体で、ポスターは“おまけ”扱いのように思います(それに、どうも“知り合い”同士で固まる傾向があるようです。これは日本人に限らず)。結果、残念なことに、セッション時間中にはMass++ポスターにもお客は殆どなかったようです(知り合いを除けば!)。
今回はどちらかというと、ポスター発表本体よりも、「ポスターに間に合わせるため」のパッケージ仕上げの最終工程が大変でした…開発者のうち2人がアデレード、2人が日本で、Slackで打ち合わせの連続。Windows版のインストーラ・バイナリはアデレードで、Mac版は京都で作成して、サーバにアップロードしました(ヨーロッパやアメリカと違って、オーストラリアだと時差が1時間しかないので、可能だったのでした!)。
というわけで簡単ですが以上がアデレードの…え?まだ、食ったメシの紹介してない?いやあ、やっぱりそういう話題が必要ですか♪(誰もそんなことは言ってないような気もする…)
仕切り直して、というわけで、ちょっとだけ(?)アデレードでの食事などを紹介しておきます!
…といっても、国際学会参加っていうのは“祭”なので、調子に乗ったメシを喰らっております(サンディエゴでもそうだったな…)。初日、到着後に最初に喰らったメシがこれ。
会場のほぼ向かいにあるホテルの2階レストランですが、はい、1ポンドのランプ肉・石焼ステーキと、草鞋くらいのサイズのシュニッツェル・デミグラスソース、まぁ要はビフカツですね(私、関西人なので、ビフカツはトンカツと同じくらい馴染みがあります)。ちなみにここで昼食をとった4人のうち2人がMass++開発メンバーですが、2人ともステーキだったという、なんというかさもありなんという感じです。何言ってるのかよく判らないけど。
ちなみに、アデレードは葡萄、特にRiesling種の名産地なんですが、実は私Rieslingの熱狂的ファンで。てことで、皆さんビールに行ったのに、空気読まずに一人だけ、(肉を食うのに)Rieslingを飲んでました。Rieslingサイコー!シュニッツェルとRieslingというあたりで、ああこのあたり割とドイツ系のカルチャーも入ってるのね、という感じがします(アデレードに隣接するアデレードヒルズのHahndorfは、オーストラリア最古のドイツ系入植地だそうです)。
で、今iPhoneを見てみたらステーキの写真は山ほどあったんですが、それとは違う面白いもの。
…こ、これって味千ラーメンだよね?…
ですね。”AJISEN RAMEN”って書いてあるし。
味千ラーメンは熊本のラーメンで、元々は華僑の客家の人が創業したんだそうで(やや、桂花もグループ企業なんですな)、だから世界進出のバイタリティもあるのか?という印象ですが、…問題は、日本と同じ食い物が出てるのか、だよなあ。
はい、これが店の入り口横に貼ってありました。写真入りメニュー。手広く弁当もやってるんですねえ。まぁ普通そうに見えますが、右下にご注目。英語と日本語で、
Tori Karaage Bento
おフライドチキン弁当
とありますが。
英語でKaraageって頑張って書いてるのに、それにChicken KaraageでもなくTori Karaageなのに、なんで日本語が「フライドチキン」やねん。ていうか「お」ってなんだよ「お」って。
これは入らなかったら一生後悔するわ、と思ったので(入っても一生後悔するかも)入って、一番目を惹いたメニューを注文してみました。それがこれ:
チ、チャーシューの代わりにステーキ入ってます。
ああいかん、またステーキになってしまった…
ちなみに、食べましたが一生後悔はしませんでした。かといって、何度も食ってみようとも思わないか。ステーキに慣れてるオーストラリア人にアピールするのにはぴったりなのかも…
食ってたら、横の席に、ぼ、某超有名ソフトのメイン研究者氏が来た、というのは秘密だ。(笑
えっと、ステーキ以外の食い物でしたね。ここにも入ってみました:
うん、マグロは万国共通だな。美味いです。シャリも大丈夫。でも日本の回転寿司(ちなみに、少なくともオーストラリアではSushi Trainというみたいだ)みたいにお茶がフリーではなくて、1杯あたり4ドルほど取られたのにはたまげたぞ。
ショウガは「こちら側のどこからでも切れます」と(日本語で!)書かれた(スーパーで売ってる寿司でお馴染みの)パック入り。
でも、皿の色ごとに値段が違うシステムは同じですね。
でもこういうのは、日本では見たことない。
まぁいいんですけど。
でも、さすがにこっちは食えませんでした…
会計のとき、レジのおば…おねえさんに「ARIGATO」と言われました。日本人とバレてたか…
さて、我々は日本からCathayで行ったんですが(途中経由の香港がちょうど緊迫しているところで。空港からは出ませんでしたが)、香港経由のアデレード直行便が2日に1便なので、帰りの日は半日以上時間の余裕が生じました。ということで、ほんのちょっとだけ、市街地の中心部と動物園を覗いてきました。
市内中心部。近代的な建物と教会、これもヨーロッパやアメリカでよく見かける風景ですが、…ああそうか。イギリス連邦。左側通行ですな。
この近くにあるのが、
中央市場ですね。
選り取り見取りの店が続々ありましたが、写真は一カ所だけ。
青果店です。色合いが素晴らしい。買って帰りたかったけど、こういうのは国内持ち込み禁止なので。
さてこの日は、市場のやや近くでベトナム料理の店に入りました。
フォーとか(ほとんどチャーシュー麺の世界、でもラーメンじゃなくてフォーです)
?焼き蕎麦とか(中華じゃないんだけどな…)
五目炒飯とか。これは美味かった。インディカ米ぴったりやわ。でもやっぱり、中華じゃないんだけどな…
他にも食べたんですが、結構辛い(塩辛い、ではなくてヒリヒリ辛い)味付けの料理が多かったので意外でした。アジア料理は辛いのが多いですが、日本料理とベトナム料理は「辛くない」例外だ、という印象だったんですがねえ。まぁ地方にもよるのかもしれないし、或いはオーストラリアのお客の嗜好に合わせたのかもしれないですが。オーストラリアでのアジア系移民が増えたのはベトナム戦争以降のようですから、世代による味付けの好みとかもあるのかもしれません。
全体として、アジア系の住民やアジア系の飲食店などがやたら目に付く印象でした。
#ホテルのすぐ近くに「SHOBOSHO」という店があって、消防署?と思いながらググって調べてみたら、おでん屋でした。ホンマに消防署か。なんで消防署…
さて、それではアデレード動物園の“目玉”を駆け足で。
もちろん最初は、オーストラリアに来たらこちら、
コアラですね。
隣町のアデレードヒルズには、コアラを抱かせてくれるところもあるそうですが、いや、別に動物抱かなくてもいいし。一方このコアラ様もずっと木の上で、人間どもには関心なさそうでした(笑
エミューですね。飛べない鳥というやつで。代わりに走り回るそうで、動きが速すぎて写真撮るのが大変。もしこんなのが飛んでたら、糞害がもっと大変。
名前だけ散々聞いていたタスマニアデビルは、こういう一見愛くるしい犬みたいなやつでした(牙が八重歯みたいだ…)。でも実際には、タスマニアタイガー(フクロオオカミ)絶滅後は世界最大の肉食有袋類なんだそうで、死肉は漁るわ肝を潰すような咆哮をするわで、だからデビルという名前らしいです。もっとも、「自分より大きい相手」には常に臆病なんだそうで、なので(異様な形をしている)人間に対しても大人しいようです。
なおタスマニアデビルの間では、現在、「顔面腫瘍性疾患 Devil Facial Tumour Disease」という「伝染する癌」が広がっているのだそうで、それについての掲示もされておりました。
他にも、こんなひととか
こんなひととか
こんなひとやら
こんなひとも走り回っておりました…
でも、このアデレードの動物園の最大の目玉は、コアラとかエミューとか、オーストラリア人がいつでも目にできる動物ではなくて、
中国から貸与されたこのひとだったようです。
ああ、ジャイアントパンダを生で見たのは上野動物園以来やな…
おまけ。歩き回りすぎて喉が渇いたので、動物園の外の自販機を見たら、なんなんですかねこの値段は(動物園の中の売店だと$5とかもっとわけわからん値段がついてましたが)。むしろ、日本では普及させるためにバッタもん売りしてるのか?
帰路にびっくりしたんですが、アデレード国際空港では、セキュリティ・チェックを受けてセキュリティゾーンに入った後、国際便出発ゲートにたどり着くまでにもう一回チェックがありました。こんなことは世界中の他のどの空港でも経験したことがないです。お蔭で、「もうセキュリティ・チェックは終わったので大丈夫」と安心してメシを食っていたら、2回目のチェックで時間をとられて、ゲートで名前を呼ばれるという、これまた初めての事態に遭遇してしまいました(主力開発者のB氏は、そのチェックのときにどういうわけだか引っかかって、危うく乗り損ねるところでした…多分乗機した最後の乗客になった筈)。
アデレードから帰国される皆さんはお気をつけください。
2019年の発表実績:その他
さて、外部に対して公開・発表した内容としては、2019年はver.4αの公開と、このアデレードでの発表だけです(すごいページ使ったなー)。他にも原稿を書いたりしておりますが、出版予定は2020年以降なので、それはまた次回の報告で。
2020年の開発・発表予定
2020年もver.4の開発を継続する予定です。プロテオーム解析の一連の処理について、Mass++上で完結できるようにするのが目標です。同時にもちろん、bug fixに加えて操作性の向上に努めなければならないと考えています。
またもう一件、“Linked Open Data”のコンセプトにしたがって、最近特に公共データベースで採用されているRDF (Resource Description Framework) に対応することで、データリポジトリなどへの対応が容易になるであろうと我々は考えておりまして、それに向けての調査を進めています(こちらについては、2020年中に実装できるかどうかはやや微妙です)。
発表については、去年も妄想していたように、今年はASMSで再度ポスター発表する予定で申し込みをしていたのですが…ASMSのオフライン大会(ヒューストン)はキャンセルされたため、代わりのオンライン大会で発表を行いたいと考えています。
また2019年に続いてHUPOで発表するかどうかですが、今年はストックホルムで10月開催予定のため、「ヨーロッパで10月に完全に平静化しているか?」は非常に疑問であり、こちらも大会が流れるのではないか、と情勢を注視中です(実際には、オンライン開催に移行したため参加しませんでした)。
さて、去年に続いて何の報告やらよく判らない活動報告になってしまいましたが。こんな感じで、なんとか開発は続けております。2020年中にver.4 final betaくらいにはたどり着きたいなあ…