Mass++は日本で企画され開発された、質量分析データを表示し、解析するためのソフトウェアで、以下のような特徴があります。
- ヒートマップ・ビューや3D表示等の、強力なデータ表示機能を備える。
- ビューアとしての機能は、Mass++の基本機能です。
- 様々な質量分析計ベンダーの独自仕様出力ファイルを、直接読み込むことができる。
- この機能を利用して、複数の(ベンダーの)機種が出力したデータを共通形式フォーマットに変換することが可能です。またMass++のために開発されたMSB (Mass Spectrum Binary)フォーマットは、情報量を一切間引くことなく、非常に高速にChromatogramを展開することが可能です。
- プラグイン構造 (プラグインとは、もとのプログラムに機能を付け加えるための小さな“小判鮫”プログラムで、例えばExcelのアドオンや、webブラウザFirefoxのPDF表示機能などが代表例です)で実装されている。
- このプラグイン構造によって、機能の拡張や除去が容易に可能です。
- 外部のプログラムを利用するためのwrapperプラグインを書けば、外部のプログラムをMass++の一部であるように利用できます。
- 質量分析学会公式データベースの MassBank と連携している。
- MassBankのデータ検索と、MassBankへのデータ登録がMass++経由で容易に実行できます。
- なお、例えばプロテオミクス解析のためのタンパク質のサーチエンジンとしての機能は備えていない。
- しかし上述のプラグイン機能を利用して、商用サーチエンジンのMascotやオープンソースのX!TandemはMass++の中から利用できます。
つまりMass++は、「波形を確認し、質量スペクトルに対する処理を行い、オミックス分野のデータ解析へデータを受け渡す」ことを全てカバーするソフトウェアで、一つのソフトウェアの中からこれら多くの機能を呼び出すことができる結果、「データベース検索を行った結果を、再び元の質量スペクトルの波形を確認しながら吟味する」といった利用法も可能になっています。
なおMass++は開発当初から、「実行ファイルは無料で配布するが、ソースコードは公開しない」という方針で配布されてきましたが、2015年3月20日を以てオープンソース化されました。